おはようございます

今日から電解質異常の心電図についてお話していきます。
今日は高カリウム血症の心電図についてお勉強しましょう

次の心電図を読んでみましょう
高カリウム血症心電図


心拍数は1500÷26=57/分
Ⅰ、Ⅱ、aVf誘導でP波は陽性
Ⅱ誘導を見ていくとPQ間隔に変化はなく、P・QRS波は1対1の関係です。
洞性徐脈ですね。

PQ時間は0.16秒

QRS波は0.08秒で正常

電気軸は正常
移行帯はV2誘導にあり反時計回転ですね。

V2-V5誘導のT波の高さに注目してみましょう。

今回のポイントは左右対称の尖った高いT波です

T波の正常値を覚えていますか??

T波の正常値は
幅:0.10~0.25秒
高さ:四肢誘導で0.5mV以下、胸部誘導で1.0mV以下
でしたね
V2-V5誘導はT波が1.0mV以上あります。

高カリウム血症とは
血清カリウム濃度の正常値は3.5-5.0mEq/Lです。
5.5mEq/L以上の状態を高カリウム血症といいます。

臨床でよく遭遇するのはカリウム値の異常ですね。
原因は腎不全によるものが多いですが、カリウム保持性の利尿薬による薬剤性や、熱傷・アジソン病、横紋筋融解症などでもみられます。

血清カリウム値が5.5mEq/L以上になるとT波は左右対称に増高・尖鋭化します。
テント状T波と呼ばれます。

昨日の静止電位を復習しながら、テント状T波の成り立ちについて詳しくみていきましょう

静止電位は細胞内が-80mVのマイナス電位に保たれた状態のことでしたね
K⁺は細胞内にたくさんあります。
細胞膜にはカリウムチャンネルがあり、K⁺は細胞外の濃度のほうが低いため、細胞内→細胞外に出ていく働きをしています。
このとき細胞内・細胞外とバランスが取れた状態が静止電位でしたね。

高カリウム血症では、細胞外のK⁺濃度が高くなります。
細胞外のK⁺濃度が高ければカリウムチャンネルは細胞内のK⁺は細胞外と細胞内の濃度差で働くため、細胞外にK⁺を出すことをしなくなります。
カリウムチャンネルが働かなくなれば細胞内にK⁺が滞ることになります。
プラスイオンが細胞内に留まった状態が細胞内・細胞外のバランスの取れた静止電位となるため、通常よりも静止電位が上昇します。

高カリウム血症

心電図のT波は心臓の再分極を表していましたね。
ここで静止電位が普段より上昇しているとどうなるでしょうか??

活動電位の第3相ではカリウムチャンネルの通過性が増えて細胞内からK⁺をどんどん出して静止電位に戻していく過程でしたね。
ここでもカリウムチャンネルが働くということは細胞外と細胞内のK⁺濃度に関係しているのです。
細胞外のK⁺濃度が高ければ細胞内からのK⁺流出は少量で済むため、通常の第3相の時間よりあっという間に完了してしまいます。
このためT波は持続時間の短く振れ幅も大きな形となります。



今日は高カリウム血症についてお話ししました
明日も高カリウム血症の心電図についてお話しします。
最後まで読んでいただきありがとうございました