おはようございます

今日から先天性心疾患の心電図についてお勉強しましょう
今日は心房中隔欠損症のお話です

次の心電図を読んでみましょう
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心拍数は1500÷16=93/分
Ⅰ、Ⅱ、aVF誘導でP波は陽性
Ⅱ誘導の流れを見ていくと、PQ時間は一定
P・QRS波は1対1の関係です。
洞調律ですね。

PQ時間は0.16秒で正常

QRS波は0.08秒で正常です。

電気軸は右軸偏位
移行帯はV1誘導にあり反時計方向回転です。

V1,V2誘導を見てみましょう。
QRS波がrsR´型になっていますね。
QRS波は0.08秒なので不完全右脚ブロックです。

胸部誘導のT波にも特徴がありますね。
V4誘導だけ陰性T波になっています。

Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導のR波にもノッチがあることが確認できますね。

今回のポイントは不完全右脚ブロック+不連続性T波です

心房中隔欠損症とは
生まれつき心房中隔に欠損=穴が開いている疾患です。
先天性心疾患に占める頻度は新生児で8-15%、成人で37-55%
男性の2倍の頻度で女性に多い疾患です。
乳幼児期に心不全を併発しない場合、中年になるまで無症状のこともあり、検診で発見されることもあります。
穴の大きさにより症状は変わってきますが、年齢とともにその穴が大きくなることもあります。
心房中隔は右心房・左心房の間の壁ですね。
心房中隔1
この壁に穴があるということは、その穴を通り血液が移動します。
左心房の圧のほうが高いため圧格差により右心房へ左心房の動脈血が流れてしまいます。
心房中隔2
普段より右心房への血液量が増えることで右心房への負荷がかかります。
心電図変化としてP波が高くなりますね。
また右心房の血液が増えれば、右心室の負荷もかかるようになりますね。
ここで起こるのが右室肥大・容量負荷です。
右室に容量負荷が起こることで右脚の伝導遅延が起こり心電図変化として不完全右脚ブロックが起こります。またこの伝導遅延に伴いⅡ、Ⅲ、aVF誘導のR波にノッチを認めることが多いとされています。
右心室から血液が流れる肺にも血流が増えることで肺高血圧症を合併していきます。
その他に心不全、三尖弁閉鎖不全なども合併していきます。

疾患の説明に出てきましたが、心電図変化について復習しましょう
①不完全右脚ブロック
②Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導のR波にノッチ
③胸部誘導のT波が不連続
①、②は右室肥大による影響ですね。
③はいまだ原因は不明ですが、右室壁の伸展が再分極過程に影響を及ぼしていると推測されています。


今日は心房中隔欠損症についてお話ししました
最後まで読んでいただきありがとうございました