おはようございます

今までの復習もかねて12誘導心電図を読み、12誘導心電図を見たときの対応についてお話しています現在は週1回日曜日に更新しています。

では心電図を読んでみましょう

62歳男性
ペースメーカー挿入中
胸痛、息切れが出現しました。
82

心拍数は1500÷21=71/分
Ⅰ誘導が低電位のためP波がはっきり確認できませんが、Ⅱ、aVF誘導でP波は陽性です。
Ⅱ誘導をみていくとP波、QRS波は1対1の関係
PQ間隔は0.16秒
QRS波は0.16秒です。
その他の心電図変化を見ていくと、
四肢誘導では全誘導QRS波の前にスパイク波形
胸部誘導でもV2誘導以外にはっきりとスパイク波形が確認できます。
P波の前にはスパイクは波形が書くんンできないため、P波は自己脈です。
またPQ間隔が均等に0.16秒でスパイク波形が出現していることからこのペースメーカーはDDDモード、心房はセンシング、心室ペーシングされています。


この心電図はペースメーカーDDDモード挿入中です。


ペースメーカーDDDモード
DDDの意味は、
1番目の文字:刺激する部位=D:dualの略で、心房・心室
2番目の文字:感知する部位=D:dualの略で、心房・心室
3番目の文字:応答様式=D:dualの略で、抑制・同期

DDD
では心房・心室それぞれにリードが挿入されます。
3番目の文字の応答様式にある同期は、DDDの場合心房からの興奮の後一定の時間間隔で心室を電気興奮させることを指しています。
この心房興奮は自分自身のP波またはペースメーカーにより生成されたP波のことです。
今回の症例ではP波の前にスパイクはないため、心房の興奮は自分自身、そのP波に同期して心室がペーシングされています。

DDDは基本的には房室伝導に異常のある場合それを補うために、心房の興奮と心室の興奮が生理的な刺激伝導系のように順序立てて行われるように電気刺激を与えるモードです。
代表的なものには
Ⅱ度房室ブロックMobitzⅡ型
高度房室ブロック
Ⅲ度房室ブロック
があげられます。

DDDの設定条件について復習しましょう。
心房・心室それぞれのリードに対して設定レートが必要なので、
①lower rate=心房を刺激する最低限の刺激頻度
→最低限のP波の出現数で最低心拍数がここで決まります。
②upper rate=心室が同期できる最大頻度
→自己のP波にどこまで同期するかを表す最大心拍数です。
この設定まではP波に追従して心室を刺激します。
③A-V delay=PQ間隔
P波出現の後一定の間隔でQRS波が出現するように応答する設定です。
この間隔内に自己のQRS波が出現すればペースメーカーは作動しません。

また不応期の設定もそれぞれのリードに対して行います。
①PVARP=心室興奮後の心房不応期
心室の興奮は心房より大きいため、誤って心房のリードに心室興奮が心房興奮と感知されないために感知できない時間を作ります。
また逆伝導といって心室の興奮が誤って心房まで伝導してしまうこともあり得るため、その予防として設定します。
②ventricular refractory=心室不応期

DDDモード心電図の症例

ペースメーカーモードDDDのお話


対応
心電図上ペーシング波形が確認できていますが、ご本人の訴えは胸痛・息切れです。
現在の12誘導心電図上は安静時の状況しかわからないので、採血データの変化がないか、負荷心電図など追加検査を行い虚血変化がないか、精査することも必要です。また呼吸器疾患も伴っていないかレントゲンなどで評価していく必要があります。バイタルサインとともにDrへ報告し、追加検査を確認していきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました