おはようございます

今までの復習もかねて12誘導心電図を読み、12誘導心電図を見たときの対応についてお話しています現在は週1回日曜日に更新しています。

では心電図を読んでみましょう

60歳女性
既往に高血圧があります。
胸痛を訴えました。
84
 
心拍数は1500÷19=78/分
Ⅰ、Ⅱ、aVF誘導でP波は陽性
Ⅱ誘導をみていくとP波、QRS波は1対1の関係
PQ間隔は0.12秒
QRS波は0.08秒
Ⅰ誘導、aVF誘導で軸偏位を確認すると+34度の正常軸
移行帯はV3V4誘導の間にあります。
その他の心電図変化を見ていきます。
四肢誘導ではⅠ誘導、aVL誘導で陰性T波
胸部誘導ではV1誘導のS波が1.5mV+V5誘導2.8mV=4.3mV
V5V6誘導でストレインST-T変化を確認できます。


この心電図は洞調律、左室肥大です。


左室肥大
左室にかかる圧や容量の負荷により心肥大が起きている状態です。
左室から血液を送り出すときに通常以上の力が必要になることで、左室壁の肥厚が起こることを言います。
疾患では
高血圧→血管の圧が高いために、心臓から血液を送り出すのに力が必要になります
大動脈弁狭窄→左室から全身に送り出す弁が狭くなっていると送り出すための力が必要になります。

心電図では左室壁の肥厚により左室にかかる電気も大きくなります。
これを左室高電位といいます。

左室高電位の基準は
①V5V6誘導のR波の高さが2.6mV以上
②Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導のいずれかのR波が2.0mv以上またはaVL誘導のR波が1.2mV以上
③V1誘導のS波とV5誘導のR波を足すと3.5mV以上
今回の症例では①、③が確認できます。

左室肥大の定義は
①左室高電位
②QRS波の軽度延長
③ストレイン型ST-T変化

基本は①③で判断となります。
③ストレイン型ST-T変化は心室の再分極が正常と逆になるため起こります。
正常であれば再分極は心外膜下側→心内膜側に進んでいきますが、肥大に伴い通常の再分極が行えず心内膜→心外膜となります。
外側から見ている電極の目では正常の場合外側のマイナスより内側のプラスを見ているためT波は陽性になりましたね。
今回の場合は内側のマイナスが電極の目に向かうためST-T変化を起こします。

左室肥大の心電図


対応
今回の症例では既往に高血圧があり左室肥大を伴っているためST-T変化が出現しています。ただし胸痛を訴えているため、以前の心電図があればST-T変化が正常範囲なのか、心筋虚血との鑑別が行えるので確認を行いましょう。
またバイタルサインの確認、現在の内服薬なども確認できるといいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました